企業と生活者の関係・進行しているパラダイム転換

 

インターネットの世界的普及、それと共に次から次へと出てくるソーシアル・テクノロジー。私達は大変な時代を生きているようだ。インターネットの普及で企業が顧客との関係性を構築するためのコストが劇的の下がったことにより、従来の企業から生活者への一方通行的コミュニケーションのあり方が変り、生活者の方から大量のコミュニケーションが発せられている。生活者のコミュニケーションを企業は受け止め、傾聴する時代に入っている。生活者は今迄の受動的立場の鬱憤を晴らすかのように積極的に企業、ブランドの活動への参加意向を示している。情報関与についても4つの層があるという。クリエイター、エディター、バリュアー、ブラウザー。企業は生活者と「価値を共創」する時代になった。ところで今迄「話すばかりだった、コントロールすることばかり」考えていた企業が生活者の声、言葉、言葉の裏にある感情をキチンと受け止められるか、という問題があるような気がする。簡単な図式で説明すると「伝達 → 傾聴 → 会話」。会話迄は来ているかもしれない。問題は一歩先だ。「会話 →対話」ができるかどうか。会話と対話はレベルが異なる。対話まで進まなければ本当の関係性は生まれない。簡単ではないだろう。これをどのように乗り越えていくか。対話レベルに達した企業側にとって求められるのは対話を活き活きとしたものにする、生活者にとってまだ見えない新しいことを提案するコンセプト力と新しい言葉ではないだろうか。私達はインターネットの発展により、人類史上かつて経験しなかったような知の利便性、情報の民主主義を手に入れた。しかし、バベルの塔の喩えもある。文明には必ず光と光の寄り添う影があることを忘れてはならないだろう。時代の波頭ばかり見ていると判断を誤るのではないか。