作詞家 ちあき哲也氏死去

吾亦紅の作詞で有名なちあき哲也氏が10日に亡くなった。66歳だった。現代では早すぎる死かもしれない。吾亦紅は亡くなった母の墓参りに行く白髪混じりの息子の心境を歌っている。忙しさにかまけて墓参りになかなか行けなった息子には母に謝りたいことが山ほどある。この歌を聞きながら私が想うのは私が子供の頃お世話になった田舎のおばさんのことだ。おばさんは分家の農家の嫁として、足に障碍を持った夫の妻として、長女を亡くした母親として、家で畑で田圃で働き詰めの人生を送ってきた。もう80代の後半になっている。吾亦紅の主人公のようにおばさんに謝りたいことは山ほどあるわけではないが、ここ10年ぐらいはおばさんのところに行っていない。本当にご無沙汰している。幼稚園に行く前、私は田舎に預けられていた。私の母が病弱だったためと聞いている。おばさんはわが子のように私を可愛がってくれた。おばさんが住んでいるのはオロシが吹く東北地方ではない。栃木県だ。今年はおじさんの墓参りとおばさんに会うために行かなければならない。

ちあき哲也は吾亦紅の他に忍冬(すいかずら)も作詞している。いずれも杉本まさとが歌ってヒットした。短い詩の中に深い人生ドラマがある。ちあき氏の作詞はいつもそのことを教えてくれる。ちあき氏の冥福を祈る。