個人主義カスタマイズから幸せの関係性へ

 

A 文脈を共有し、共創の精神を、というところまできました。

N 今迄の売り方を2つに大別すると、説明不要で売れるように!と考える最大公約数派と「小さな本物と個別対応」を追求するリクエスト派、ということになります。最大公約数派が進めてきた大量生産とセルフ販売は効率的ではありましたが、売り場から人間的触れ合いを奪い去り、お客様を無難な、最大公約数的な選択に追いやりました。

A 現在は成熟経済社会に移行しつつあると言われています。いやもう移行しているのかもしれませんね。成熟社会ではお客様は本物を、しかも自分の知性と感受性にあったものを求めると言われていますが、これからはリクエスト派が優勢を占める時代と考えて良いのでしょうか。

N そうだと思いますよ。お客様は商品に感動とストーリーを求めています。作り手の思いの込められた商品はやはり違います。ストーリーとはそれを使うことによって生まれてくる生活の中の小さな、しかしかけがえの無いドラマです。伝統的商品が今なお多くの人に愛されている、というのはお客様に感動とストーリーを与えるから、と考えてみたらどうしょうか。しかし伝統的商品も不易流行の精神で新しいものを研究して加えていかなければ廃れてしまいます。

A 成熟社会ではシニア層の購買力が拡大していくと言われています。シニア層、特に女性のシニアは文脈を共有し、共創の精神での接客を特に望むのではないでしょうか。  その意味では、最近デパートで年配のというか、ベテランの店員が目立ちますが、何か関係がありそうですね。

N やはり同じ年代層の販売員が同じ年代層のお客様を接客し、販売していくというのが大事でしょう。顧客セグメントに対応する販売員のセグメントが必要ですね。

A ルミネは若い女性を対象にして、「私らしく新しく」というコンセプトで売上を伸ばしてきました。このコンセプトは非常に優れていると私は見ていますが、それだけにこのコンセプトを超えるコンセプトを創りだすのは大変だろうな、と思います。

N 確かにそうですね。しかし私は「私らしく新しく」というコンセプトは変える必要はないと考えています。このコンセプトの枠の中で、「私」と「新しく」の内容を変えていけば良いと思っています。私については他の人とリアルにつながっていく私のあり方、価値感、そして新しくという部分では、是非エコを考えたライフスタイルを取りいれていってほしいと願っています。「人と環境につながる」ことが大事です。

A 今日はいろいろと勉強させて頂きました。ありがとうございました。