再度チームについて

Forbes JAPANの6月号のタイトルは「天才は、もう要らない チーム力の奇跡 凡人が集まって偉業をなす方法」。6月号ではIDEOが取り上げられている。以前同社CEOのティム・ブラウンの「デザイン思考が世界を変える」を読んで、多くの大切なことを教えられた。私がこの本を最初に手に取ったのは「ビジネスモデルジェネレーション」の中の「プロトタイピング」の説明がもう一つ腑に落ちなくて、何か参考になるものがないかと探していた時に、偶然この本に出会った。第4章「作って考える」を読み、プロトタイピングの意味と目的と効果を理解することができた。今でもこの本を折りに触れて読んでいる。愛読書の1つとなった。昨日朝神田で人と待ち合わせをしている時に10分程時間があったので近くのローソンに寄った時、この雑誌は書籍のラックにあった。早速立ち読みして購入。IDECOがトップで紹介されている。IDECOの創業者デイヴィッド・ケリーの弟であり、共同経営者のトム・ケリーが同誌の取材に答えている。トム・ケリーの原則は「いかなる個人より全員のほうが賢い」というものだ。ブラウンの本にも書いてあるが、IDECOの3本柱は①共感②プロトタイピング③物語作りだ。トム・ケリーは意外な指摘をしている。世界中で一番クリエイティブな国は日本だ、というのだ。しかし日本は「クリエイティビティを具体的に実現するための自信が足りない」と。理由は「日本人は失敗を恐れ過ぎなのではないか」

これからの何が起こるか分からない複雑な時代、私達は前例踏襲ではなく創造力で問題解決を図っていかなければならない。それをチーム力で行なう、というのがトム・ケリーのメッセージだ。ただIDECOジャパンの構成メンバーを見ると「凡人」というよりまさにエリートの集まりだ。企業も含めあらゆる組織で、「普通の人」がチームをつくり、それを良いチームに育て、その組織が直面している困難な問題、向おうとしている不透明な未来に向けて問題解決力、創造力を発揮できるメネジメントが求められていることは間違いない。もう一度チーム、それも創造的で、日本的なチームづくりについても考えてみたいと思う。5年ほど前に、ロンドン大学のメルディス・ベルビンの「Team Roles at Work」を読み、チームについて考えたことがあった。グループではなくてチーム。これを機会に創造的チームづくりについて考え、実践していきたい。時代は良いチームを求めている。