問題解決と問題解消

 

私たちは時々こんなことを言う。「もうそれはいいんだ」「もうそれはいいの」。「今迄それが問題だと言っていたのに、解決したということ?」と聞くと、「もうそれは問題ではなくなっている」との答えが返ってくる。「ああ、そうなんだ」ということになる。ここから先はやや言葉の遊びのようになるが、最近そんなやりとりがあって、考えたことは問題解決とは別に問題解消という領域もあるのではないか。解消とは消えてなくなる、ということで、つまり問題が問題でなくなる、ということだろう。

具体的に考えてみたい。

例えば、一生懸命仕事をしているのになかなか成果が出てこない。どうしたら良いだろうか、いうのは問題解決の領域だろう。もう一つは人間関係。上司と部下との関係、夫婦、親子の関係でいろいろな問題が出てくる。

仕事の方は目標にしている成果が出てくれば、一応問題は解決したことになる。成果を出すために仕組を変えたり、価格を見直したり、という対策も取られる。ある意味では定量的な世界かもしれない。一方人間関係の問題は相手との関係もあり、複雑だ。私は若い頃青臭く、我も強かったので、相手に合わせるということがなかなか出来なかった。相談相手からは「もっと大人になれよ」「阿部が変れば相手も変る。まずオマエが変ることだ」と言われ、また自分でもそのあたりのことは気付いていたので、自己啓発の本を随分読んだりしたことを思い出す。本を読んだけで簡単に変れるはずもないが、人間関係は問題解決よりも問題解消の世界かな、と思っている。自分が成長することによって問題が解決、いや解消する、というのはどこか嬉しさと感謝が伴うのではないだろうか。