土とは何か?

腐葉土は山の中で100年かかってやっと1cmできると言われている。山の腐葉土は森を支える貴重な肥料となり、また栄養分が川に流れ込み、海に出て植物プランクトンの餌になり、海を豊かにしていく。山の腐葉土ではないが、畑で土づくりをする時、私は腐葉土を毎年土の中に鋤きこんでいる。そうすると土がフカフカしてくる。腐葉土も1年ものと2年ものは違う。2年ものはより土に近くなっている。手にとってみると良く分かる。

あるベテランの農家の人は言う。「良い土をつくることが一番大事。種の中には設計データが入っている。良い土をつくれば自然と野菜は育つ」と。それにしても土について調べ始まるとまことに奥が深い。土については物理的、化学的、そして生物的な特徴と分析方法がある。また「地力」という言葉も使われる。地力の条件のその1は「養分供給能」。チッソ、リン酸、カリなどをはじめとした必須元素。養分はただあればいいのではなくて、養分間のバランスが必要と言われる。養分の緩効性も求められる。地力の条件その2は土の「容器的性格」。養分を充分に保持しておく能力。陽イオン保持能のCEC。深耕によって養分の収着保持容量の拡大も必要だ。

土の話をする際、土中腐植物質に触れることがたまにある。培養土を私たちが購入する時、腐植酸という表示を見かけることがある。講習会でそこまで質問する参加者はまずいないが、聞かれた場合答えられるように一通り勉強しておく。まさに教えるためには2倍も3倍もの勉強が求められる。それにしても土とはまさに生命体と生命体(動植物)の遺体が密集した不思議な塊だと思う。この不思議な土の中で種の中にある設計図、アルゴリズムが発現・展開していく。もし地球に土が無かったどうなっていただろう。土こそ命の源と言えるのではないか。土に触れると元気になる。確かな理由があるのだろう。