地方の再生の難しさ

山梨県の南部に南部町という町がある。南部町は富士川の両岸に縦長に広がる町で、すぐ近くまで山が迫ってきている。主な農産物としてはお茶と生姜が挙げられる。そして林業。林業が昔から盛んな町で、ログクラフトづくりも行なわれていて、ログクラフト協同組合がある。理事長のSさんを訪ねて山の中の事務所に行った。製材用のヤードにはまだ厚い雪が残っていた。私達が近づいていくのに気がついたSさんが事務所の中から出てこられて、図らずも雪の上での長話となった。一緒に南部町に来たMさんも交え、3人で立話。

話題の中心は地方の町は再生できるか、だった。Sさん自身、ここ南部町でそのような活動に長年取り組んでこられた由。その上での結論は残念ながら「無理」、というものだった。最大の理由は若い人が取り組めるような仕事がない。また都会から人々を呼び込めるような目玉がない。今迄苦労され、挫折の苦い思いをされたことも多々あったようだ。お話を聞いている間に1時間が過ぎていた。地方の再生と口でいうのは簡単だが、実際は至難の業なのだ。やはり地元の人達とトコトン話合いながら、またさまざまな制約条件も伺いながら、どのような可能性を創り出すことができるのか、今度は雪の上ではなく囲炉裏端でブレストをやりたいものだ。