地方も外国人観光客を受け入れる時代が来た
日本の観光消費の付加価値誘発効果は25.2兆円と名目国内総生産(GDP)の5.2%を占めている。最近では円安の影響もあってか、外国人観光客が増えている。昨年は1000万人を越えたとのことだ。ただフランスの8000万人に比べるとまだまだこれからだ。課題はいくつかある。私なりに整理してみると、
1.これからの日本は観光産業を大きく育てる時代に入っているが、付加価値の内容を見直し、多種多様なサービスの開発が必要ではないか。テレビの旅行番組など見ていると観光の内容がステレオタイプ化しているように思われる。
2.ホテル、旅館など「点」で受け止めるだけでなく、地域で、つまり面で受け止め、地域の自然、食、文化を楽しんで頂けるようにすることが今後、繰り返し訪れてもらうためには必要だろう。
3.観光地の旅館、ホテルは週末は稼働率が高いが、月~金の週日はガクンと下がる。この週日の稼働率を上げることが鍵を握る。この構造的問題が宿泊業で働く人の賃金を全産業平均より低くし、人手不足、サービスの低下を招き、悪循環の原因の一つになっている。
4.従来の顧客セグメントは男性団体客、会社関係が中心だったが、これからは個人客中心の時代となる。いやすでにそうなっている。特に温泉観光地はかつては遊興の場という性格も持っていたが、これからの観光地は自然に触れ、人々の暮らしに触れ、リフレッシュできる、発見と感動の場になっていくことが求められているのではないか。
5.個人の観光客の主体は若い人達とシニアの人達だ。特にシニアの人達は時間的余裕、 経済的余裕もあるので、週日旅行も可能だ。訪問した土地が気にいれば、度々訪れてくれるだろう。その内、外国人観光客も地方にやってくる。シニアの人達の中には外国語に達者な人、サービス業とか会社経営をやってきた人もいることだろう。外国人訪問客が増えれば、仕事の機会も増えてくる。
シニアの人達に呼びかけたい。「いざ帰らん、田園まさに荒れなんとす」地方再生はシニアの力にかかっている。都市で培ってきた技術、経験、知識を地方の若い人々に伝え、それぞれの地方の輝きを産み出す。日本のグローバル化とローカル化を統合し、日本を元気にするのはまさにシニア世代のハートと肩にかかっている。私にはそのように思えてならない。そのためには優れたビジネスモデルが必要だ。