天地創造・ある視点

 

最近の研究で宇宙が焦げ臭いということが分かった。無数の星が爆発した結果と言われている。私達が住んでいるこの宇宙がどのようにして生まれたか、ビッグバン理論は分かりやすく説明している。そして今も全宇宙は拡大しているとのことだ。一方天地創造については旧約聖書で「初めに、神が天と地を創造した」と書かれている。6日間かけて天地を創造し、7日目に神は休まれた。以下順を追って辿ってみると、

第一日 闇の中に光ができた

第二日 大空を造った。大空を天と名づけられた

第三日 地と海をつくり、植物を造られた

第四日 太陽をつくり、月をつくった

第五日 鳥、海の巨獣、水に群がりうごめくすべての生き物を造られた

第六日 野の獣、家畜、地のすべてのはうものを造られた

最後に人を神の似姿に造られた。それは人に被造物を支配させるためであった

 

現代に生きる私達はこの創世記の記事をどのように理解したら良いのだろうか。理解の仕方はいくつかあるだろうが、ここでは3つに大別してみたい。

1.抽象的な真理を古代人にも理解できるように絵画的に再現した絵物語である。大事なことは抽象的真理を理解することである。従い、ここでは太陽ができる前に植物が造られたのなら、光合成はどうなっていたのか、というようなことは問わない。

2.純粋に空想的な全くの虚構物語で、古代人の未発達な意識が造りだしたものである。

3.創世記に書かれていることは全て真実であり、その真実に現代科学はまだ到達していない

 

さてここで、一つの問いを立ててみたい。この天地は何のために創造されたのか。ビッグ

バン理論は天地創造の宇宙創造のメカニズムについては説明するが、「何のために宇宙は創

造されたのか」という目的については説明しない。一方「創世記」は明確にその目的を説

明する。それは神の被造物を人に支配させるためだ、と。神が創造された地の上には調和

的世界が生まれていた。全ての動物、獣、鳥、地を這うすべてのものは緑の草、つまり植

物を命の糧としていた。そこには肉食動物はいなかった。従い弱肉強食もなかった。これ

に続き、もう一つの問いが生まれてくる。「なぜ被造物は人に支配されなければならなかっ

たのか」「なぜ神は人の被造物の支配を委任されたのか」そしてこの場合「支配」とはどのようなことなのか。最初の人アダムがしたことと言えば、被造物に名前をつけることしか書かれていない。これで本当に「支配」していることになるのか。

現在は環境破壊が急激に進んでいる時代であり、環境保全、生物多様性の維持がますます

重要性を帯びてきている。そして「共存共生」が普遍的価値になりつつある。

エコロジーを考える時、私は創世記の「支配」という言葉の中に、抽象的真理があるよう

な気がしている。人間は生きるために食べなければならない。結果として、動植物の命を

奪って自分の生命を支え、維持していかなければならない。地球の人口は以前増加し続け

ている。「支配」するためには「責任」が伴う。この責任を被造物に対して、どのように果

たしていくか、問われているのではないだろうか。