失敗続きの人生でも
私の知人、仮にFさんとしておきたい。最近ゆっくり話す機会があった。会った時の印象では元気がなかった。いつもは元気そうなので、アレどうしたのか、と思い、聞いた。
A「今日は少し疲れているみたいだけど」
F「そう見える? 最近あることがあって、自分の人生を振り返ってみて、俺の人生は失敗続き、失敗ばかりだったなと思ったら、急に気分が落ち込んでしまって、そこからなかなか抜け出せないんだ」
A「そうか。今迄君を見ていて思っていたが、いつもその時その時で頑張っていたじゃないか。失敗と思うのは結果がついてこなかったから、ということ?」
F「頑張ってきたが、所詮それは俺の一人よがりじゃなかったのかと思うんだ。自分なりの目標をつくって挑戦してきた。自分を甘やかさないため、いつもかなりきつめの目標を掲げてチャレンジしてきたが、いつも目標迄到達できなかった」
A「目標が高すぎたということかな?」
F「親とか家族の期待に応えたいという気持もあった。それに俺がどこまでの人間かも試したかった、ということもあったかもしれない」
A「それはみんなあるよ」
F「しかし、目標を実現できない俺を見て親とか家族はどう思っただろうか?」
A「どう思ったと思う?」
F「また言っている。どうせ出来もしないのに、とバカにしていたのではないだろうか」
A「そんなことはないさ。いくつも失敗して、そこから学んで、最後には目標を実現する、できれば手を貸したいと思っているはずさ」
F「そうかな?失敗続きの人生で、俺は自分の人生をなんとつまらない一生かと思っている。空しいというか、取り返しがつかないというか」
A「自分も失敗つづきの人生、中途半端なことが多い、今思えば悔やまれる人生を送ってきたと思う。本当にそう思っている。しかし今はそれで良かったと考えている。勿論
そこに行く迄には自分の中にも葛藤はあった。君も私も人生の最終章を迎えている。最終章をどんな風に書いていくか、それが大事だと思う。失敗にも挫折にも意味があり、価値があるんじゃないかな。それを最終章で書きたいと思っている。」
F「君はいつからそう思えるようになったんだ?」
A「自分の人生の中で大きな転換点がいくつかあったが、やはり人生の重心を下げる本を
読むことも大事だ。背伸びしないで、重心を下げて安定させる。そして人生の全体を、見えにくい深いところも含めて観る。参考になりそうな本を今度4~5冊持ってこよう。大事なことは選択、選ぶことだと思う。人生には最後迄選択の自由が与えられているんだから。何がなくとも今日一日明るく楽しく生きる。それも意志による選択だよ。」
F「今日は泣き言を言って済まなかった。心の中にあることを吐き出さずにはいられなかったんだ。」
A「わかるよ。次回は自分の泣き言を君に聞いて欲しいと思う。それでアイコだ」
F「わかった。今日は何かうまいものでも食べにいこう」