女性目線の起業を巡って

 

私たちの東京オフイスが入居している神田錦町のちよだプラットフォームで最近、以前と違うな、と思うことは女性の多いことである。ランチタイムのデリカフェは大雑把に見て8割が女性だ。3年前は私の記憶とイメージが間違っていなければ真逆、つまり女性は3割もいたかな、というぐらいだからこの変化は大きい。このちよだプラットフォームは起業家が集まるインキューションセンターだ。2年程前、屋上のガーデンで仲間と一緒にランチを食べていたKさんとの立ち話を思い出す。Kさんはちよだプラットフォームに入居しているIT系の会社のスタッフだが、起業を考えていた。

 

Kさん 阿部さん、私たち女性は時間が限られているんです。その分真剣なんですよ。

阿部  どういうこと?

Kさん (そんなことも分からないのですか、という表情を露にして)私たち女性は結婚して子供が産まれたら仕事は休まなければならないんです。今仕事をしていてもそこで一旦中断です。そしていつ仕事が再開できるか、今と同じ仕事ができるという保証もないし、その意味でも結婚迄の期間が大事なんです。

 

この会話がキッカケとなり、私はKさんの勤めている会社に、実際はKさんに私たちの会社のホームページ(屋上菜園でビル、マンションの価値アップ)の作成を依頼した。その後Kさんは結婚し、会社を退職した。

9月26日、大手町の日経ホールでウーマンズ・イニシアチブ・フォーラム in Tokyo2013」が開催された。10月7日の日本経済新聞にフォーラムの様子が特集で紹介されている。

この特集に慶応大学大学院メディアデザイン研究科教授の石倉洋子氏が以下のようなコメントを寄せている。

「ネットの世界はつながっているが、実世界ではまだまだ断絶がある。断絶している所に橋を架け、ミスマッチをマッチさせる。その部分を女性の視点で「つなぐ」・・・アイデアが浮かんだらまずやってみることが必要だ。やりながら考え、必要に応じて変えていくことが大切だ・・・自分の利益だけでなく、社会のため、世の中のためになるにはどうしたらいいのか、大きなスケールで考えることも将来的な成長に必要なことだ」

現在屋上菜園も含めた人間と自然が共生するあるプロジェクトに私たちの会社は取り組んでいる。

パートナー会社の担当者は出産、育児期間を終えて(保育園に預けて)職場に復帰した女性だ。以前お会いした時よりもずっと優しく、かなり逞しくなっている。この種のプロジェクトには女性の参加とイニシアチブが必要不可欠だ。このプロジェクトは是非成功させたいと思っている。