孤独と真実の人生・若松英輔のエッセイより

今朝溜まった古い新聞を読みながら、ハッと思った記事があった。日本経済新聞5月7日の「プロムナード」欄の若松英輔氏の「孤独をつかむ」だった。氏は画家岸田劉生の言葉を引用しながら、孤独の意味、可能性、価値そして、さらにはその祝福を解き明かしている。そしてエッセイの結論はこうだ。

「孤独は悲嘆に始まる経験だがそれは生きる力をもたらし、深みから私たちの人生を祝福する」

エッセイ全体を読んだ後、私は自分の今迄の人生が何だったのか、一瞬にして分ったような気がした。「そういうことだったのか。そういうことだったのだ」。失敗だらけの人生、挫折の連続の人生、晩成さえできない自分、それでも生きてきた、いや生かされてきた自分・・・。私は孤独の意味をいつも否定的に捉えていた。このエッセイで孤独の肯定的価値に気付かされた。なぜか爽やかな喜びの感情が心の中に広がっていった。自分の生き方を自分なりに肯定し、今日から自分らしい真実の人生を始められる、という希望の光が差し込んできた。

私自身は若松氏の解き明かしに深い示唆と共感を覚えるが、私なりに一点だけ付け加えたい見解もある。それは「大切な人を喪った者」の経験のところだ。

今日は特別な一日・・・となった。