安保関連法案について

安倍首相が安保関連法案について「戸締りをしっかりやっていれば泥棒に入られない」という喩えで分かり易く説明しようとしている。これで安保法案の核心を説明できると安倍首相は考えているのだろうか。今回の安保関連法案についてはそれぞれの立場で賛成、反対、どちらとも言えない・・・と異なった意見があると思うが、私たちにとって共通の問題は、中国の国際法を無視した海洋進出、増大する軍事的脅威をどのように考え、どのように対処するか、ではないだろうか。中国はアメリカに対して太平洋を米国と中国で2分割しようと企んでいる。

今回の安保法案については中国の軍事的脅威から日本の領土をどのように保全し、国民の生命・財産の安全を確保するかについての議論がまず優先課題で、憲法問題は付随的課題ではないかと私は理解している。

日本国憲法第9条は以下のようになっている。

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

現在、日本は陸海空軍を保持していないだろうか。来年度も防衛省の概算要求は5兆円を超える。第二項は既に空文化している。

テレビの解説、コメンテーターの話だけで判断するのではなく、憲法9条が制定された当時の世界的状況を振り返りながら、今回の安保法案についても自分自身で法案内容をきちんと読んで冷静に考え、平和維持の枠組みの中で、自分なりの判断を持つべきではないだろうか。国の安全保障は国民一人一人が真剣に取り組む課題でもある。