定年後の社会的失業者

定年後、年金の受給を受けながら、またその他の金融資産などからの収入も加えて、悠々自適の生活をする。定年退職者にとっては理想的な生き方かもしれない。しかし一方で、今迄は生活のために、家族を養うために、自己実現のために働いてきたが、これからは本当に自分がやりたいことをやって社会のために働きたい、と願う人々がいる。会社という字が逆になって社会。さてそのような人たちはどのようにして社会のために役立ち、かつ
自分がやりたかった仕事に出会うことができるのだろうか。なかなかそのような仕事を見つけることができないでいるシニアを、どのように呼んだらいいか。私はそのような人々を「社会的貴重失業者」を呼びたいと思う。現在の超高齢化社会では、例えば65歳で定年を迎えても80歳迄、約15年間生きることができる。敗戦後の日本を復興させるために現在のシニア層は池田内閣の高度経済成長・所得倍増政策の下、深夜迄の残業も厭わずに、アメリカに追いつけ、追い越せをスローガンに遮二無二働いてきた。そして第二幕。
シニア層は日本という社会が本当に成熟し、穏やかな社会となるためにもう一仕事、一奮張りすることを求められているのではないか。成長から成熟へ、だ。ただ成熟の日本型モデルはまだ見えていない。そのモデルをつくるのもシニアの仕事ではないか。