定義する

定義とは「そもそも何か」を明確にすることである。例えば「ビジネスモデルジェネレーション」では冒頭にビジネスモデルについての定義が示されている。

「ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し、顧客に届けるかを論理的に記述したもの」。無印良品の松井会長はマニュアルを作る際にまず定義をしている。例えば「朝礼とは何か」「部下に注意するとはどういう行為か」。常識的な答えが返ってくるにせよ、物事の本質を考える、ということは当事者の思考力を刺激する。

聖路加病院の名誉院長の日野原先生が講演で子供達に話をした時、質問を出した。それは「命とは何ですか」だった。子供達は命は心臓とか頭とか考えたようだ。子供達に本質的なことを考えさせる。つまり定義するように先生は促したのだ。皆の答が出た後先生は答えた。「命とは時間です」と。これは日野原先生がご自分の人生と仕事を通じて到達した定義、ということになるだろう。

私たちは仕事の中で「コンセプト」という言葉を良く使う。そこで思うのだが、定義とコンセプト(概念)とは同じことなのか、違うのか、という疑問が出てくる。

概念とは名前をつけることであると考えてみたらどうだろうか。馬とか鳥とか。これは一般的抽象意味だ。鳥の個別具体的ものとして、カラスとか鳩、スズメがいる。恐らく仕事で使うコンセプトは本来はConception、つまり構想、着想、創案を意味しているのではないか。私の身近で思い付く例は下記のようになる。

定義:有機栽培とは何か これに対する答が定義、ということになる。例えば「微生物主体の循環的栽培」とかの定義。

コンセプト:有機的生活の実現 このための出発点と広がりと実現への方向性を論理的に説明する