家族の風景の変化

現在家族の姿が大きく変ってきている。少子高齢化が大きな問題になってきているが、もっと大きな問題は家族のかたちが大きく変ってきていることではないか。有体に言えば、一人暮しの人々が増えている、ということだ。詳しい統計数字は確認していないが、現在一人暮しの人は全人口の約1/4、今後それが1/3にまで増えると予測されている。そうなると食事の風景というのはどうなるのだろうか。家族で一緒に食事をする、という風景は段々少なくなっていき、家にいる場合はテレビを見ながら一人で会話もせずにただ食べるだけ、外の食堂で食べる時も回りに人はいるが、ただ食べるだけ、ということになるだろう。一方家で食事をする時でも、例えば老夫婦の場合、あまり会話もせずに夫は食事をして、「美味しかった」とも言わずに席を立ち、テレビなどを見るということが多いのではないか。「食卓を小さく使う老夫婦」という句もある。食事時間も短い。私達シニアは子供時代、親から食事をしながらぺちゃくちゃ話すのは行儀が悪い、と躾られて育った。私は最近週1回だけだが、家内に教えて貰いながら料理をつくるようにしている。そのことで多くのことに気付かされている。一つだけ言えるのは食事の時間は家族にとって一番大切で、楽しい時だ、ということである。そしてもう一つ思うことは、家族だから一緒に食事をする、だけでなく、一緒に食事をするから家族、という考え方もあって良いのではないか、とういうことだ。日本人はそのようにして絆をつくり、相手に対する思い遣りの心を養ってきたのだから。