小さな実験、小さなチャレンジ ケニー・マクゴニカル氏から学ぶ

 

ビジネスモデルをデザインする場合、大事なことは一般性と特殊性の融合だ。言葉を代えていえば、演繹法と帰納法との落差の解決だ。多くの人は経営理論について学び、それを理解できたと思うと、それをいわば教科書のように具体的ケースに当てはめようとしがちだ。若い頃、私にはそのような傾向が強かった。今から思うと頭でっかち、「理論家」だった。しかし、現実はそのような教科書的理論を受け付けるほど単純でもなければ、甘くもない。理論が経営をするわけではない。そこにはやはり人間が介在する、というより人間中心なのだ。そのような人間が複雑な現実と向き合って、現実の中に分け入り、現実を変えていくためには、徹底的に具体的に考えなければならないと思う。具体的かつ特殊的にだ。理論は本を読めば理解できる。しかし現実を読むためには、現実を変えていくためには具体的・特殊的思考能力と洞察力と直感力が求められる。私は最近1の大きなことを考えるよりも10の小さなことを考えることが大事なことと思い始めている。大きなことは実行できないことが多い。しかし、小さなことは実行できる。実行しなければ、結果は出ないし、いわんや成功もおぼつかないだろう。勿論実行するためには順序も大事だ。

マクゴニカル氏は言う。「小さな実験、小さなチャレンジは決して難しくない。それを一つ一つこなしていくことで脳の働き方が変り、欲望の誘惑に耐える状態に持っていける」全く同感だ。10の小さなことを見出し、実行の段取りを考える。出来そうだ、と思えればモチベーションも向上する。できることが積み重なっていけば、楽しくなる。やはり一歩一歩なのだ。