少数者のインパクト

NHKEテレの「こころの時代」で沖縄の平良牧師のライフストーリーを紹介していた。数人の信者への礼拝説教。少数者としてのクリスチャンを励ますような内容だった。平良牧師は言う「数ではありません。質です」。このメッセージを聞きながら、私はマレーシア駐在をしていた頃のことを思い出した。

当時私はNEB、マレーシア電力庁向けの営業も担当していた。送電線部門の技師長でインド人の方と親しくなり、一度電力庁のポートディクソンの保養所に誘われ、一緒に旅行した。彼はカトリック、私はプロテスタント。同じキリストを信じている者として、場所を変えてゆっくり話そうということだったのかもしれない。

砂浜に座り、マラッカ海峡を見ながら話した。

「日本ではクリスチャン人口は少なく1%ぐらいです。少数者なんです」

それに対し、彼は諭すようにこう言った。

「少数者でも社会に影響を与えることはできる。大事なことはインパクトを与えることだ、ミスターアベ」

翌日彼とポートディクソンのカトリック教会で一緒に礼拝を守った。

今から30年前のことだ。

平良牧師の話を聞きながら、まさに平良牧師は「少数者のインパクト」を身を持って実践してこられた方であることを知った。米軍統治時代、高等弁務官の新任式で平良牧師は祈祷の機会を与えられ、まことに勇気のある祈りをされた。平良牧師はマタイの福音書25章を挙げておられた。

「まことに、あなたがたに告げます。・・・これらの私の兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです」