屋上菜園だからこその栽培方法

 

屋上菜園だからこそできることを改めて整理してみたい。私が日頃から思っていることがある。一つ目は野菜栽培にとって屋上はどのような場所か、ということである。屋上は物理的には野菜栽培にとって絶好の環境だ。まず陽が良く当る。風通しもいい。屋上は高いところにあるので、病害虫が少ない。従い無農薬栽培のための条件が揃っている。課題は風の強さだ。野菜が強風に煽られ、茎が折れたりなどのダメージを受けることもある。さらにビルの荷重条件があり、薄い土での栽培が要求される。以前はそれをハンディキャップと考えていたが、土厚15cm栽培で実物、根物の栽培ができることが分かってからはかえって薄い土の方が根の呼吸にとっては好都合ではないのか、と考えるようになった。

屋上は都心部になるので、近所の迷惑を考えると農薬は使えない。屋上菜園にも病害虫が発生する。考え方としては害虫を殺すのではなくて、害虫が来ないようにする。病気を農薬で消毒するのではなくて、病気が出ないように風通しを良くしたり、竹酢液を使ったり、ウリ科の野菜の傍にネギを植えて、ネギが出す抗生物質を活用したりと、自然の力で病害虫を抑える、という方法をとってきた。

屋上菜園で有機栽培をする目的として「生物多様性」の都市部での実現ということもある。

芝生だけでは単調になるだろうが、菜園では鳥、昆虫、微生物など文字通り、小規模ではあるが、生物多様性の世界が実現する。

屋上菜園は子供達にとっても楽しい場所。屋上菜園で作業をしていると、屋上に来た保育園の子供達が寄ってくる。トウモロコシを見たり、トマトを見たり、ブドウの房を見たり。都心部では毎日の生活の中で「自然」に触れる機会が殆どないのではないか。そんな子供達にも有機栽培で育てた、安心、安全そして採れたての、美味しい野菜を食べてほしい。

今年の夏はエダマメを収穫した。10月にはサツマイモを保育園の子供達が収穫する。