平家物語の夕べ

原典「平家物語」を聴く会主催の第28回「平家物語の夕べ」が今日、澁谷区文化総合センター大和田の伝承ホールで開催された。今回の夕べでは平重盛を取り上げている。演目は『小松大臣・平重盛』。教訓状では語りを真行寺君枝さんがつとめた。医師問答は歌舞伎役者の片岡孝太郎さん、灯炉之沙汰、金渡は麻生花帆さんがそれぞれつとめた。改めて原典を正確に記憶し、それを語り、演じるとは大変なことだな、と感じ入った次第だ。マイクなしで客席の後ろ迄声を届かせる技術はどのように習得するのだろうか。

さて重盛は清盛の長男で温厚篤実かつ信心深い人物だった。横暴と奢りを極める父清盛を諌め、時の天皇に忠節を尽くす存在だが、最後は自分の命と引き換えに父重盛の暴挙を止めて欲しいと熊野権現に祈る。その願いが聞きいれられたのか重盛は発病して42歳の若さで死ぬ。灯炉之沙汰では重盛の魂が舞台の上で明滅するような感動を覚えた。平家物語ではやはり壇ノ浦の戦いが有名だが、重盛のような存在がいたことも記憶に留めておきたい。

私自身古典芸能には詳しくなく、また鑑賞力も乏しいものだが、時には足を運び、古典芸能の世界に身を置いてみたい。そんな年齢にもなっている。