成熟社会の都市農業

 

国土交通省都市計画制度小委員会が基本理念として「都市と緑・農の共生」を打ち出した。やや遅きに失するキライもないが、歓迎したい動きだ。この基本理念では「都市農地を、必然性のある、あって当たり前の安定的な土地利用として活用していく」と謳っている。そして都市農業・都市農地の果たす機能として以下3つをあげている。

①食料の生産活動

②適切に管理されたオープンスペース(防災、景観、環境保全)

③農業への理解醸成(都市計画域内には全人口の9割以上が生活。農業、農地に触れることで農業への関心、理解を深める)

現在成長経済から成熟経済に移行しつつある。全体的な人口減少、少子高齢化、そしてより質の高い生活への希求が高まっている。ビジネスモデル的に言えば、プロセスイノベーション(効率、モノ)からプロダクトイノベーション(価値 コト)へ移行しつつある。成熟社会は次の3つを特徴とするのではないかと私は考えている。

①高度共感社会 ② 高度共創社会 ③高度相互扶助社会

この3つを実現するためには社会デザインの視点と方法を変えなければならないと思う。そのためにもデザイン自体も再定義される必要があるのではないか。デザインが独自の関係性の創出であるとすれば、デザイン自体が関係性を生み出しているそれぞれの基盤に迄降りていくことを求められるだろう。デザインの力に期待したい。