我が国の国防基本方針について・自力か国連か米国か

現在参議院で安全保障関連法案が審議されている。国会に、政府、与党、そして野党議員にお願いしたいことは感情論に走らずに、冷静かつ本質的な討議をしてほしい、ということである。安保関連法案について考える際に、私は3つのポイントを抑えておきたいと思う。

1.まず日本の国防の基本方針についてどのように考えるか。一朝事があった時、日本は自力のみで、つまり単独で敵に立ち向かっていくのか。あるいは国連に調停を要請し、必要な場合は国連軍の派遣を求めるのか。それとも同盟関係にある米国に軍事的支援を要請するのか。

2.日本を取り巻く安全保障環境がどのようになっているのか、政府はその説明を国民にもっと分かり易く、具体的に納得がいくように説明すべきだろう。強大化している中国軍の拡張主義が恐らく最大のポイントになるのではないか。一方国民も平和は誰かから与えられるものではなく、自分達が地政学的認識と責任を持って守るべきものであることをもっと自覚していくべきだろう。国民の正しい意味での国防意識は十分に抑止力の一要素になるはずだ。

3.中国軍の強大化と反比例する形で米国の世界での影響力が相対的に低下している。かつて世界の軍隊と言われた米国は、財政的負担に苦しみ、日本に肩代わりを求めることを余儀なくされている。

最近の新聞記事で知ったことだが、60年の安保法案では「米国による日本防衛義務が明確化」された。それまでの51年の旧安保法案では防衛義務が明確ではなかった。

今回の安保関連法案は以下のような流れになっているとのことだ。

集団的自衛権は国連憲章が認める自衛権。これを基礎にして抑止力を拡大解釈して、自力防衛と米国の防衛義務を具体的に明確化する。三位一体的自衛ということなのか。

これが安保関連法案の意味だとすれば、併せて明確にしておかなければならないことは侵略性の防止条項だ。