政治から緊張感が失われていく時
自民党の石破幹事長が安倍首相に屈服したようだ。これで自民党内に反主流派がなくなったことになる。なぜ石破幹事長は折れたのか。昨日の夕刊フジが興味深い記事を載せている。それは菅官房長官が石破氏を恫喝したのではないか、という歳川隆雄氏の指摘である。
詳しくは記事に譲るが、今秋に総選挙を実施したら、野党は壊滅状態になり、自民党の圧倒的多数、さらに言えば自民党単独支配、戦前の大政翼賛会的状況になる可能性が高いが石破幹事長にそこまでの読みと覚悟があったのか、と菅官房長官は石破氏に迫ったのではないか。言葉を変えればそこまでの権謀術策的発想ができなければ自民党の幹事長として鼎の軽重を問われる、と迄言われたのではないか。自分の権力基盤を固めるべく、個人的な思いで幹事長職にこだわった自分の小ささを石破幹事長は赤面の思いで思い知ったのではないかと思う。逆に言えば、石破幹事長が野党を壊滅させるために早期の総選挙を安倍首相に進言していれば事態は変ったかもしれない。石破幹事長の交代で一番胸をなでおろしているのは野党だろう。そして石破さんは自分の基盤を失った。30名と言われる石破グループは分裂して、力を失っていくことになるだろう。自民党内に反対勢力を作らせない、野党を無力化する、憲法改正も含めなんでもできる長期安定政権の基盤を固める・・・これが安倍首相の基本戦略ではないか。それが国民にとって幸せな状況かどうかは全く別問題である。