故郷回復・都会から田舎へ

米山正夫作詞作曲の「津軽のふるさと」という歌を聞きながら、思うことがある。ただただ懐かしい気持でふるさとを想うことのできる人は幸せだ。しかし田舎から都会に出てきた人の中には故郷を捨ててきた人もいるのではないか。また既に故郷と言える場所が無い人もいることだろう。私自身、故郷と言える場所はもうないような気がしている。父が生まれ育った栃木県のS市も今は叔母さんと息子が住んでいるが、もう故郷という感じはない。子供時代を過ごした東京都北区の上十条の家は既になく、今では知り合いもいない。私にとっての故郷は過去の記憶の中にしかないのかもしれない。そんな気持ちを持っている私だが、ここが自分にとっての新しい故郷になったらいいな、と思っている場所が2つある。一つは3年前に友人と一緒に行った伊豆の下賀茂だった。河津桜と一面の菜の花の畑を見て、なぜか「日本の原風景」という言葉が口をついて出た。もう一つは埼玉県比企郡小川町の下里だ。有機野菜塾に参加するために4月に最初に行った時、穏やかな山並み、田園風景を見て、まるで桃源郷と思った。それは私ばかりではなかった。お子さんを連れた参加者のIさんもそのように言っていた。生まれ故郷は自分では選べないが、自分が天の故郷に帰るための地上の最後の故郷は選べるのではないか。ハイマートロスという言葉がある。サルジニア島に長寿の8人兄弟が住んでいる。長生きの秘訣は自分の仕事を生涯やり続けることとコミュティの存在のようだ。第二の故郷に新しいコミュティをつくる。できるところから、ということで私はまずは週末民泊から始めたいと思っている。