新規就農者をどのように支援するか
知人の息子さんが関西の京都府で就農している。農業の研修生として4年間農作業をした後、独立したいとのことで現在は農家に下宿して農作業をしている。しかし農業だけでは食べていけないという現実に直面し、アルバイトをしながら農業を続けている。気持ちとしては「農業を続けるためにアルバイトをする」だ。しかしレタスなど生産物を販売しなければ農業をやっていることにならない。ここが家庭菜園とか市民農園と決定的に違うところだ。栽培し、選別し、袋詰めして出荷する。これは毎日の作業となる。一人で全部をこなすのは大変だ。恐らく息子さんは土日もなく毎日働き、それでも生活はカツカツという状態が続いているのだろう。一番辛いのは将来の見通しが立たないことではないか。息子さんは30歳を過ぎ、独身だ。
もう一人も知人の息子さんで中国地方の島根県で就農している。脱サラ組だ。44歳、奥さんも子供もいる。就農に際しては県から3年間年150万円の助成金が出るので、奥さんが道の駅でアルバイトをして家計の足しにしてやってきたが、2年目の今、農業一本で生活していくことができるよう準備に入っている。実収入で500万円は欲しいとのことだ。奥さんは農業を手伝うというより、ここでできる自分なりの、今後のための仕事を考えている。彼は有機農業にこだわり、最終的には不耕起農業を目指している。有機農業の場合、手間がかかる。しかし農産物収入だけで生活していくためにはそれなりの耕作面積も必要で、まさに働き詰めとなる。その結果身体が持たない、ということで有機農業を諦めるケースが出てくる。彼と話していてまず思うのは「省力化」だ。そのためには農業機械の利用が欠かせない。新規就農者は強い覚悟を持って地方に移住し、悩み苦しみながらも農作業に励んでいる。消費者として彼らをどのように支えていくか、どのように支えたら本当に支えることになるのか、考える日々が始まっている。