日本型コミュニティのビジネスモデル(続き)

 

田口ランディの新しい小説「サンカーラ」についてのコメントが東京新聞夕刊に掲載されていた。私の目を引いたのは以下の個所だ。「大事なのは、個と個が対立する関係性ではなく、お互いがお互いを存在させる関係性だと思う。仏教でも『存在』というものはなく、すべてが『関係性』です。私たちは関係し合うことによって、存在させられている。これは21世紀にもっと普遍化していくと思う構造主義的な考え方と近い。2500年前に既にブッダが考えていた。東洋ってすごい」田口氏は存在がまずあってそれから関係が結ばれるのではなく、まず関係があって存在がある、と指摘している。仏教では大きな関係性の小さな網目の一つが私という存在であることを教えている。関係性の自覚がいわば悟りと言えるかもしれない。ここに仏教の深さ、広がりを感じる。一方私達は新しい関係をつくろうとする。そしてそこに新しい自分の存在の場が造られる。今年は中村 元博士の生誕100周年に当る。インド仏教を原典から翻訳し、日本に紹介した中村 元博士の著作をじっくり味わいたいと思っている。存在と関係性、というテーマはここ10年ほど私自身も考えてきたテーマだ。日本型コミュニティを考える上で、一つのキーワードになるかもしれない。