日本型ビジネスモデルセミナーと「大から小への転換」

 

今回のセミナーのもう一つのテーマは大から小へのビジネスモデル転換の事例2つの分析だった。千代田区のある建設会社と新橋の小さなすし屋を取り上げた。いずれも規模を大幅に縮小して、事業を守り、新しいビジネスモデルでしっかりと利益を稼ぎだせるようにした。現在のような成熟社会では既存の市場の中では生存競争は成長経済下よりも一層激化して、熾烈を極めることになる。このような状況では顧客に明確な価値提案をして、顧客との関係を深め、継続的なものにすることが大事だ。このことを怠る企業は市場からの退場を余儀なくされる。一方新しく生まれてくるニーズをいち早く見つけ、顧客に受け入れられるビジネスモデルを新規に構築することも欠かせないことだ。日本の場合、成熟社会とは、少子高齢化、女性主導、使い捨てから良いものを長く使う、そして公平な分配を目指す社会、ということになりそうだ。今回の事例研究でとりあげた2件は正確には、中小企業から中堅企業を目指したが、途中で引き返して中小企業に戻ったケースであり、もう一つのすし屋の場合は20席ある店から3席の店に縮小したケースだ。以上2つの事例は小さくして「成功」したケースだ。この2つに共通しているのは「顧客との関係強化」だ。自分の会社にとって「顧客との関係強化」とは具体的にどんな内容になるか、考えてみたい。この関係強化は一方的なものではなく、相互的なものである。企業の視点から、顧客の視点から、両者の視点で考えるべきことと思う。セミナーの後、事業活動の最小単位は家族で、つまり家族共同体ではないか、と考え始めている。