時代の変化と組織づくりの視点

これからの時代、組織のあり方はどのように変っていくのだろうか。このことを3つの視点から考えてみたい。そのためにもこれからどうような時代になっていくのか、自分なりのイメージがほしい。私なりのイメージはこんな風になる。

1.すべての部分でネットワーク化が進み、複雑系の社会、世界となっていく。遠い国の出来事、自分の生活・仕事とは関係のなさそうなことがある日、巡りめぐって脅威をもたらす。大小のリスクが否応無く増えていく。

2.かつての人類の進歩を象徴したアメリカ文化に対する崇拝が消えてしまい、それぞれの国が、地方が、民族が自分の固有の文化のアイデンティティに立ち返り、多文化共生・競存が普遍的価値となっていく。文化の違いを優劣で争うのではなく、違いを認め、理解し、受け入れ合うことができるようになるまでには紆余曲折が避けられない

3.世界人口の増加とその一方での耕作面積・農村人口の減少のため食糧問題が世界的深刻化する。それを補う形で農業の産業化が進展する

4.富裕層と貧困層の二極化が進む。貧困は制度的な欠陥から生まれる。厚生経済学的政策が効果的に導入されない限り、二極化が進行し、中産階級は消滅の危機に瀕し、社会は不安定化する。

5.資本主義が終焉を迎える。資本主義は資源が無限にあることを前提にして、拡大再生産、資本の限界なき増殖を目指す。それが現在では自然破壊も生み出している。

6.巨大企業が国境を超えて、世界企業として君臨する一方で、生活者の自給自足的なライフスタイルがresilience的な思想に裏打ちされて拡大していく

以上のイメージを描きながら、そのような時代を生きていくための組織づくりの視点は

以下のようになる。

1.組織あるいはチームの目的はこれからの時代の人々が本当に必要とする「価値」の

  発見と創造。そのためには生活と社会に新しい価値をもたらすイノベーションを産みだすことのできる組織とその中での能力開発。持続的イノベーションが事業の継続の基盤となる。

2.組織の大きさは産みだすことのできる「価値」の大きさに対応する。これを身の丈

考える。この「価値」の内容を深めていく

3.組織あるいはチームの運営は「民主的」であることと顧客参加型へと移行していく。オープンな組織運営が求められる。顧客との距離感の遠近が業績に反映される