時代小説から現代小説へ

時代小説「欅風」を書き終えた後、その余韻を引きずっている。書いている最中は最後の一行に向けて、それこそ必死の思いだったが、書き終わり、細かい訂正とか修正をしているうちに、一つの「作品」として、この時代小説を外側から、また内側から見ることができるようになった。内側というのは登場人物の生きることへの思いに改めて寄り沿うことであり、外側というのは登場人物間の人間関係、さらには時代環境の中で、その人間関係が変化しつつあることを見届けることである。私達の仕事でもアフターフォローという部分があるが、まさにそれと同じことを経験しているのかもしれない。またそれは小説を書き終えた者が味わうことのできるささやかな「至福」の時かもしれない、と思ったりしている。

さて現在は「欅風」の次に現代小説を書きたいと思って準備を始めたところだ。テーマは「農的生活・屋上菜園の中での人間の再生と新しいタイプのコミュニティ創生」だ。目的は都市部での屋上菜園の様子を都市住民に知ってもらうことにある。同時に屋上菜園のこれからの可能性、役割についても触れていきたい。

都市住民が農的生活を楽しみ、成熟社会に相応しいライフスタイルをつくることができるよう、そのための参考になるようなストーリーを展開していきたい。