時流と波頭とビジネスモデル

 

私は以前から「時流」という言葉にこだわっている。時代がどこに向かって流れているか、この感覚が仕事を成功に導く鍵になると、私に教えてくださった人がいる。時流をつかみ、それに自分の仕事を摺り合わせ、編集することが大事だが、実際に行うことはそう簡単なことではない。ということで、その人はその感覚を養うのは修行だとも言っていた。私がビジネスモデルのデザインをする場合、常に時流を考える。さて最近私の知人が時流の先端部、つまり「波頭」を調べていることを知った。波は盛り上がって崩れる前に波頭を立てる。岸辺に立っていると海の彼方から波が押し寄せ、波頭を立てているのが見える。今まで時流という時代の中を流れる趨勢に、ややマクロ的に目を向けていたが、向こうからやってくる時代の波にミクロ的に、水先案内的に目を向けることも大事なことではないかと思い始めている。何を時流と見るかと同じように何を波頭と見るか。面白そうだ。その知人からは一緒に波頭を見つけませんかと誘われている。今回の総選挙で見えた波頭は何だろうか。私が見た波頭は自民党のブランド力と一体感だ。これから少数政党の中には政権参加の機会を期待して自民党に擦り寄っていく党が出てくるだろう。正確には自民党の実質的な独裁に私は波頭を感じる。ここまで自民党が勝ってしまうと、キャスチング・ボードを握れる少数政党はなくなる。独裁は独善と驕りと腐敗を生む。いや、本当の波頭はまだ見えていないのかもしれない。