有機農業の可能性

金子美登氏の文「小利大安の世界を地域に広げる」の文章の最後の章「7 21世紀の新たな文化を創る」の中で、以下のような文章に出会い、嬉しくなった。少し長くなるが引用したい。

「21世紀の豊かな暮しとは、例えば週3日、有機農業でたべものを作って自給し、残りは別の仕事をするというライフスタイルではないだろうか。別の仕事は、木工でも陶芸でもいいし、公共を支える仕事でもいい。いわゆる半農半Xであり、購入資源に依存しない暮しである。・・・農業と農村の文化を土台にし、食べものの共同体のような価値観を伝えつつ、都市の利益社会ともつながっていけば新しい形が生み出せる。アメリカやフランスなどのCSAに集う人びとを見ても都市生活者は共同体を再構築したいと思っているのではないだろうか」

上の文章の第一はまさに私が目指しているライフスタイルだ。自給は大よそ80%ぐらいまで来ている。第二の農村と都市の交流は、私がこれから同じ方向性と志を共有する仲間と一緒に取り組もうとしているプロジェクトだ。私はこの文章を読んで大いに勇気づけられた。

また今日の昼過ぎNHKで「アリスと美味しい革命」を放送していた。アリス・ウオーターが有機農業の農家を訪問している。アメリカの有機農家は広大な畑で野菜を栽培し、また豚、鶏などの家畜も飼育している。見ていて楽しくなる。

有機農業の特徴の一つは「つくる」ではなく「できる」というところにあるのかもしれない。つまり自然の恵みと自然の摂理に沿った人間の努力だ。

日本人は「良いものを安く買いたい」という衝動にいつも駆られているが、工業製品なら大量生産などでそれも可能だろうが、農産物の場合は「良いものを価値に見合った価格で買う」というのが基本的ルールになると私は最近思っている。それは同時の農家にとって「拡大再生産可能な価格」ということでもある。拡大というのは人材育成、品種改良、経営改善のためにはそれに見合う利益も必要だからだ。