東洋的思惟と西洋的思惟

 

インド哲学の碩学、中村 元博士は、西洋哲学は個人主義的で冷たく、東洋哲学は生かされているという意識が特徴で温かい、と考えておられたようだ。(前田 専学氏談)東洋哲学では個人は世界の結び目の一つだ。世界から隔絶した個体ではなく、世界の一部として活かされている個体、と考える。ビジネスモデルを構想し、コンセプトをつくりあげる時、東洋人と西洋人とではその根っこの部分で違いが出てくるのではないか、と思う。

中村先生は「絶対の愛というのは、人間のなかに現れるものだと思います。世界創造者としての神の愛ではありません」(「人生を考える」P139 青土社)と述べ、人類一般ではなく、私の目の前の、現に生きている「この人」を愛すること、特定の個人をいたわり慈しむ気持を大切にする。この具体性、現前性へ向き合う姿勢はビジネスモデル構築の際求められる対象的思惟、インサイトの核心に触れる鍵なのかもしれない。