歌の伝える力と歌が創る場

数日前のテレビ番組「アナザースカイ」で歌手の中島美嘉の特集をしていた。中島は耳の病気が治らないと宣告されてニューヨークに渡った。歌手にとって耳の病気は歌手生命にかかわる一大事だろう。4年前のことだ。そして現在歌手としての活動を再開している。私も左耳が突発性難聴で耳が聞こえない悩みを抱えている。彼女の悩みは私以上だろう。インタビューに答えている中で、私の心に残った彼女の言葉は「自分は歌を上手に歌うことはできないが、(?上手か自信がないか・・・このあたりは記憶があいまい)伝える力はある」というところだった。「伝える力」・・・私の中で自問自答が始まった。どういう意味なんだろう。そして彼女は何故そう思うことができるのか。中島美嘉の歌を聞けば、何か分るかもしれない。

そして昨日のNHKの歌謡コンサート。「歌にかけた我が人生~真剣勝負名人戦!魂の熱唱

△五木ひろし 布施明 島津亜矢 夏川りみ。いつもとは違う雰囲気だった。いつもはマンネリ気味で他にチャンネルを切り替えていたが、昨日はじっと見続けた。4人とも凄かったが、私にとって一番ジーンと来たのは布施の「霧の摩周湖」だった。今迄何度か聞いたことがある歌だが、こんなに深い気持ちでこの歌を聞くとは・・・。布施はイントロのところで東日本大震災で亡くなった人々の魂に向って呼びかけていた。それが、独得の雰囲気、歌うものと聞くものとがそこに一緒に立っているかのような「場」を創った。

魂の熱唱そのものの歌謡コンサートだった。4名の歌手の生き様にも触れ、歌にかけた我が人生が文字通りそうなのだと思わされた。そして、私は何に我が人生をかけているのかと我が身を振り返ったことだ。