物語・ビジネスモデル
物語について、2つの本を挙げたい。一つは『「物語力」で人を動かせ』(平野日出木 三笠書房)と「ビジネスモデルジェネレーション」(翔泳社)。物語について私が基本的テキストにしているのは前者だ。物語法の「型」と「実践の仕方」を身につけるのにとても参考になる。通常の物語をつくるのであれば、この1冊で十分かもしれない。一方ビジネスモデルの分野では物語に対し独自の役割が与えられている。
1.革新的なビジネスモデルは理解が困難だが、優れた物語はそれが理解できるようにし、聞く人を巻き込んでいくことができる
2.物語は現実と虚構の境界をあいまいにし、聞く人を未来へと連れ出し、将来のさまざまな可能性に触れることができるようにする
私はビジネスモデルのデザインをする時、まず論理構成から入るが、それを必ず物語化するようにしている。物語化する効果の第一は、ビジネスモデルが未来において現実性を持つかどうかを確認できる、というところにある。二番目は物語であれば誰もが自由に、自分の意見を自分の立場で述べることができるという民主性だ。そしてこれが一番重要かもしれないが、お客様に提供する<価値>の見える化が行なわれることである。
優れた物語をつくるにはセオリーがある。そのことを上記の2冊の本は教えてくれる。そして大事なことは日々物語を書き、型の習得と実践への応用を試みるということである。物語を書くスキルはビジネスパースンにとって益々求められるようになるのではないだろうか。