物語-アリス・ウオータースのバジル・ペースト

今回屋上菜園の利活用のメニューの一つとして、友活菜園+BBQのプログラムを開発した。皆で屋上で野菜・ハーブ・果樹を収穫し、皆で料理し、一緒に食べる。

最近一人暮らしの人が増えていると聞く。仕事も実際は一人でパソコンに向っている時間が多く、また一人で食事をする場合も少なくないようだ。一緒に食事をしながらおしゃべりをすることはやはり大事なことなのだと思う。京都大学の教授、カール・ベッカーは日本人の食事の仕方について興味深い指摘をしている。欧米人は食事の時、自分の欲しいものを相手に伝える。一方日本人は相手が欲しいものを察して相手に回す、と。日本人にとって食事の場とは相手と心を通わす時でもある、という見方は日本人として大切にしたい

マナーではないか。また私達都市生活者は食べ物が育てられる場から遠ざけられている。その意味でも屋上で野菜・ハーブ・果樹を栽培しているところを見てもらいたい。

そのため過去8年間、屋上で葉もの野菜、実もの野菜、そして根もの野菜、ハーブ、さらにはブドウ、オリーブの有機栽培を行なってきた。さて一緒に料理するだが、料理教室ではないので、そのためだけに時間を取れない。でも一緒に料理する時間を持ちたい。そんな時、NHKテレビでアリス・ウオータースの番組を見た。彼女は庭で果物、野菜、ハーブを栽培し、それをレストランで使っている。番組ではバジルペーストでオレキエッテ風パスタをつくりレストランのスタッフと一緒に食べていた。本当に美味しそうだった。食べ物だけではなく、会話も美味しそうだった。「これだ!」と思い、アリスを参考にして、すり鉢とすりこ木でバジルペーストをつくることにした。

アリスのオレキエッテ風パスタにはアリスが紡ぐ物語がトッピングのように乗せられているように思えた。

友活菜園+BBQの参加者がこのイベントの中で、できることなら自分なりの物語をつくってほしい、そんな気持ちだ。