現代の「祭」とは?

 

祭とは何か。祭の持つ意味とそれがなぜ私達にとって今なぜ必要なのかを考えてみたい。祭は時代と社会によって機能も装置も変化していく。日本人の祖先、縄文人は生きるために祭を創造した。獣、魚貝類、自生の植物に依存した生活の中で、狩猟生産関係の儀礼、人生の節目毎の通過儀礼、そしてこの両者をむすぶ仮面儀礼の複合儀礼として祭が行なわれていたと考えられている。祭は共同体を支えるものとして、そして生きるために開かれた。縄文時代に創造された祭は形を変えながら、地下水のように現代にも日本人の心に受け継がれているのではないかと思う。祭は喜びを共にし、生きるために与えられているものとそれを与えてくださっている神に感謝し、日々の生活の苦しみ、困難を生き抜くための希望と力を得る時であると、ジャン・バニエは言う。そして「わたしたちの心は、地上で達し得ない幸福に餓えている。無限なるもの、普遍的なもの、永遠なるもの、退屈な日々の生活に意味を与えてくれる何かに餓えている。祝いはまさにこの地上を超えたもののしるしのようである」と。(共同体 ゆるしと祭りの場 女子パウロ会367P)

資本主義社会は効率と競争原理で、共同体を分断、破壊してきた。現在資本主義の行き詰まりの中で新しい共同体のあり方が求められている。新しい共同体にはそれに相応しい祭が必要だ。現在に生きる私達は「生きるため、生き抜くために、生きることを喜びと希望を回復するために」新しい祭を創造する時を迎えているのではないだろうか。