現代の庭とは?

 

私達の日々に生活にとって庭とはどのような場所なのだろうか、そんな問いを昨日のセミナーの後、考え始めた。平安時代に造られた平等院の庭は池を挟んで、彼岸のような意味を持っていたらしい。毎日浄土の世界と向き合い、当時の王侯貴族は此岸の日々の生活を整え、思いを清めていたのだろう。当時の庭造りは四神相応観が庭造りでは重要視され、さらに陰陽五行説で理論化されたとのことだ。このような背景の中で「作庭記」は生まれた。時代は下り室町時代には足利幕府によって金閣寺、銀閣寺が建てられた。私は京都に行くと、大抵銀閣寺に行き、枯山水を見た後、裏山に上る。銀閣寺の全体が眺望できる。江戸時代の大名の庭園は現代にも名残りを留めているが、かつての内藤新宿高遠藩の庭園、現在の新宿御苑の大きさには驚かされる。この新宿御苑は明治期鹿鳴館の頃だろうか、一時ゴルフ場になっていた。さて現代人にとって庭とは何だろうか。言い換えれば現代人は庭に何を求めているのか。私は造園については詳しくないが、一つだけ願っていることがある。それは庭はただ見るものだけではなく、その中に居て、遊び楽しむものだ。鑑賞だけではなく自然に触れる共生の場、であってほしい。いまこそこの自然との共生感覚が求められている時代だ。庭の設計思想も是非そうであってほしいと願っている。