生活を楽しむ

 

生活を楽しむ。日々生きることに喜びを見出していく。あるいは幸せを感じていく。最近は「幸福度」という言葉もあるらしい。以前幸せということについて考えてみたいと思い、ローター・サイヴァードの『「幸せ時間」ですべてうまくいく』を読んだ。ドイツの時間管理のコンサルタントが書いた本だ。印象に残った言葉は最後のエピソードの次のような言葉だった。私は、いつも自分に言い聞かせています。「毎日が特別なのだ。毎時間、毎分が特別な瞬間なのだ」と。そして最近一昨年10月に亡くなった小林正観氏の本。最後の本「豊かな心で豊かな暮らし」の中で小林氏は言う。「この本では、豊かさの最大のポイントとして、心を考えることにしました。豊かだ、幸せだと感じる心を形成しない限り、豊かさも幸せも手に入らないということです」そして小林氏は「うたし焼き」の窯元になることを勧めます。「う・た・し・や・き」とは、嬉しい話、楽しい話、幸せな話、役に立つ話、興味深い話の頭文字をとった小林氏の造語だ。私は小林氏の考えに深い共鳴を覚える、と同時にやはり一人ひとりが幸せと豊かさを感じられる社会をつくることも大事だと考えている。「なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか」S.R.A デンマーク「風のがっこう」代表 ケンジ・ステファン・スズキ著を今、手にとって読み始めている。今の日本にとって大切なことは成長戦略よりも国民が「幸せと豊かさ」を実感できる制度設計、社会デザインではないか。この中からこれからの日本に相応しい成長がそのまま成熟と言えるような経済活動が生まれてくるような気がしてならない。企業主体の成長戦略ではいずれ壁にぶつかるだろう。過去の企業の収益動向と賃金水準の比較表を見ると、企業収益が上がっても賃金は上がらず、逆に下がっている。国民の実質所得を上げることが経済活動を活発にするためには大事だ。企業が賃金を上げるためには、覚悟と勇気が求められる。そのような企業こそがこれから生き延びていく企業かもしれない。それが成熟社会の企業のあり方ではないかと思う。