知識社会のビジネスモデルのあり方 

 

最近社会資本とか人的資本という言葉が良く使われるようになってきた。資本の定義が拡がってきているのかもしれない。辞書には資本とは①もとで。資金②事業を営むために要する基金③新たな営利のための使用する過去の労働の生産物。④利子や利潤を得るために用いる財貨、とある。ここでは①と②の定義を採用して話を進めることにしたい。①と②を合成して事業を営むための基金も含めた元手、つまりリソース(経営資源)と再定義すると資本の定義の幅を広げることができる。なお資本主義となるとイデオロギーないしは資本主義の類型についての議論となるので、ここでは触れないことにしたい。かつて事業を始める時は元手として、カネ、人、モノと言われたが、知識社会化した現代では、知財がカネの前に位置づけられることが多くなってきた。知財を金銭的に評価して資本金の一部とすることもできる時代だ。従来事業を立ち上がる時は常の元手、種金のことを考えたが、現在ではまず事業を立ち上げる知財にどの程度の価値があるかどうかの検討が重要だ。優れた知財があり、マネジメントに対する信頼性があれば、カネは後からついてくる、と考えることができるのではないか。これからは優れた知財の開発に全力を注ぎ、ビジネスを遂行していく中で実践知を獲得し、知財を磨き、更に発展させていくということがビジネスの基本循環になるだろう。資本の循環はそれに付随的についてくると考えてみたらどうか。ここで考えているのは発想の転換ということだ。一言で言えば、知財を初めとして今迄資本とは考えられなかった、事業活動のための役立つもの、また事業活動を推進していくエネルギーとして取り入れることのできるものは、自由な発想でドンドン取り入れていったらどうか、ということだ。資本の定義の幅を広げ、主義として資本を考えなければ、もっとクリエイティブになることができるはずだ。