管理優先から自由な精神を持ったリーダーにバトンタッチ

 

長期にわたる経済の低迷、先行き不透明の世界経済。日本の企業経営者は会社を守るためにそれこそ必死になって、なりふり構わずにコストを削り、人員を削減し、利益確保に努めてきた。その結果優秀な人材が企業を去ってしまう、という事態も起こった。企業は人なり、という言葉がむなしく響く。管理型のリーダーの下には管理型の人材が集まる。守りの組織になる。前例踏襲、リスクはとらない、世渡り上手の人々が優秀とされる。管理が悪い、と言っているわけではない。どのような組織であれ、生命力を維持し、発展していくためには管理と発展を螺旋的に繰り返すメカニズムが必要だ。木を見れば、年輪と年輪の間と2層ある。そうして生長していく。問題は管理型の人材より自由な精神、革新的なリーダーを育てる方が難しい、ということだ。企業は経済環境の変化に適切に対応するために、そして生長していくためにこの2種類の人材を持っていなければならないと私は考えている。これができる企業が人材面で本当の実力企業かもしれない。私は日本型ビジネスモデルの研究をしているが、日本人は個人としては本当の意味で自由な精神を持ちにくい民族ではないかと思う。これには集団労働を基本とする農耕民族の思想が強く影響していると思われる。勿論持ちにくいということで、そのような自由な精神を持った人物がいなかったわけではない。私の知っている範囲では江戸時代の海保青陵、本多利明、そして磯田道史氏の「無私の日本人」「日本人の叡智」の中で取り上げられている歴史の中に埋もれていた人達。従い、企業経営者は今後会社の人事政策として2種類の人材を育てていくことが企業存続の鍵を握ることになることを肝に銘じなければならない。特に自由な精神を持った人々を意識して守り、育てていかなければならないと思う。