組織と個人が対峙する時代の幕開け

 

テレビ朝日の沢村一樹主演の「最強の名医」(木曜夜9時)とTBSの堺雅人主演の「半沢直樹」(日曜夜9時)が19%台という高い視聴率を叩き出している。両方とも次はどうなるか、のハラハラ感、ドキドキ感が溢れている。これから毎回家内と一緒に見ることになるだろう。両者とも組織の中で、組織と拮抗しながら、自分の仕事の原点をしっかり踏みしめている。組織に長くいると、組織の目的に馴化されてしまい、自分の手柄、世渡り、出世競争、駆け引きと裏切りの世界で身を窶すことになる。もしそれが性に合わないということであれば、組織内で斜めに構えて生きるということになる。しかし、この2人の仕事振りを見て凄いと思うのは、良い意味での「青さ」を持ちながら、したたかに、弱音を吐くことなく、組織に、上司に事実と筋道を立てて対峙するところだ。上司に、また組織にとって本当に怖い部下とはこのような部下だろう。そして組織にとって本当に必要な人材とはそのような人材だと思う。本来会社組織は一部の野心家とか暗闘のためにあるのではなく、顧客と社会のために存在するのだから。半沢直樹は、銀行の原点を貫き通すことにより、そのことで銀行に復讐しようとする情念を抱いている。外科医の相良浩介は「患者を救うためなら手段を選ばない」という信念で動いている。半沢直樹の情念の底には銀行から融資を打ち切られ、首吊り自殺をした父親の姿と教えがある。相良浩介の場合、それは何だろうか。私達日本人は組織と対峙することに慣れていない。というより、やはり長いものには巻かれろ、なのだ。そして対峙することの出来る知力と胆力を持っていないものは、はぐれ狼となる。これからの時代、組織よりも仕事にロイヤリティを持ち、その中で人間関係を大切にするビジネスパースンが増えてくるかもしれない。そうなれば日本も変っていくだろう。