経済成長期と成熟経済期のビジネスモデル

私達の世代はいわゆる戦後高度成長期に社会に出た。団塊の世代の一歩前の世代だ。学生時代、経済学部にいた関係で、経済成長は資本の集中・集積、生産財生産と技術革新に基づく、というようなことを議論していた記憶がある。そして鉄鋼専業商社に就職して、鉄鋼製品の輸出業務に携わった。当時は為替レートが1ドル300円以上の時代でもあり、日本製品は世界各国に輸出されていた。私が担当していた鉄鋼製品の輸出も右肩上がりで増えていた。時には徹夜でメーカーに入れる注文書を、タイプライターを使って作成した。注文書を重ねて立てると立つほど多かった。高度成長とは私にとってはイコール毎晩の残業でもあった。体力勝負だった。押出しの強い人が会社の中でも出世していった。その後のバブル経済、そして長い経済停滞。現在は経済成長から成熟経済に向かっていると言われる。成熟経済では多様なニーズが生まれ、質の高い商品、サービスに人々の関心が向かう。経済成長期は他社以上の良い品を、安くという競争が続くが、成熟期にはどうなるのだろうか。それをただ一言で言えば、ブランド化、ということになるだろうか。全ての商品、サービスが、大小関係なくブランド化を目指す。ブランド化は技術だけでは生まれてこない。歴史、文化が基底になければならない。経済成長は退化であったという説もこの文脈の中に置いてみると納得がいく。成熟経済下で日本は本当の進歩を目指すべきだ。フランスのコルベール委員会はフランスの高級ブランド75社によって構成されている組織だ。フランスの誇る「生活美学」(アール・ド・ヴィーヴル)を世界に広めていくことを目的としている。日本企業と政府は世界に何を広めていけば良いのか、コルベール委員会を参考に考えてみたらどうだろうか。