経験知と形式知、そして議事録が回すSECIサイクル

 

ビジネスに会議はつきものだ。会議にはつまらない会議もあるし、出席していてワクワクするような会議もある。ところで、会議をするとまとめ、つまり議事録をつくる。海外で仕事をしていた時、議事録を作成し、出席者がそれぞれ議事録の内容を確認してサインをした。マレー人、中国人、日本人と会議の出席者が同じ英語を使うにしても多民族だったので、特に文字と数字で確認することが欠かせなかった。その時が議事録の重要性を明確に認識した時だった。帰国後公私共に会議に出席することが多かったが、議事録のまとめをする機会が多々あった。議事録を作成するためには会議の議論の進捗状況がキチンと頭の中に入っていないと、大事な事項が抜け落ち、役に立たない議事録になってしまう。いつしか簡潔明瞭で役に立つ議事録をつくるためにはどうしたら良いか、自分なりにいろいろな事例を探し、あたってみた。そして私なりに合理的で、良いお手本になると思ったのはある米国大統領が部下に指示した報告書の書き方だった。短時間でポイントを正確に掴む、このことを大統領は部下に要求した。議事録の場合は報告書の書き方を少し修正する必要がある。それも自分なりに工夫した。ところで次に気になったのは議事録が発言の確認に重き置かれ、会議の後のフォローは当事者だけに任されている、ということだった。ということで最近では会議は3つの部分で構成されていると考えている。会議準備と会議と会議のフォロー、アクションだ。会議の準備は会議の質を左右する。会議の持ち方は会議の生産性を左右する、そして会議のフォロー、アクションは会議の価値を左右する。この会議の3つの部分が有機的に結合すれば、出席者の経験知は形式知化され、会議の中で共有され、フォロー、アクションで経験知化される。つまりSECIサイクルが回り始めるのだ。議事録のつくり方については決定版と言えるようなものはないのかもしれない。だからそれだけ工夫のし甲斐、楽しみがあるとも言える。たかが議事録、されど議事録なのだ。