緑化のプレハブ化で何が可能になるか

 

プレハブ化は日本の住宅産業を大きく育てた。大半は工場で生産し、現場では組立中心で住宅を建築できる。大和ハウス、セキスイハウス、ミサワホームは住宅プレハブの大手だ。昭和35年、大和ハウスのスーパーミゼットハウス、セキスイのセキスイハウスA型など、後の本格的プレハブ住宅の原型が産声を上げた。昭和38年、三澤木材が中型パネルによる2階建てを発表、昭和42年にはミサワホームとして独立した。時まさに池田内閣の所得倍増政策の波に乗り、住宅需要は急速に拡大、プレハブ住宅、正式には「工業化住宅」が普及して行った。日本のプレハブ住宅産業は現在年間建設戸数20万戸近くとなり、約4兆円の産業に迄成長した。住宅としても住みやすさも含め、多くの技術開発が積み重ねられてきた。低層住宅の工場生産住宅として経営的に成功した世界で唯一の例と言われている。(「日本の工業化住宅の産業と技術の変遷」より)

ビジネスモデルの世界には「移植」という考え方がある。私がここで考えていることは住宅のプレハブ化のビジネスモデルを芝生緑化の世界に移植する、ということである。大袈裟な表現になることをお許し願いたいが、芝生緑化のプレハブ化だ。芝生を工場で植栽基盤ごと生産し、現場では形状に合わせて張り付けるだけにできないか、ということである。

主な現場は建物の屋上になるが、屋上は一定の期間毎に防水塗装する。その際には芝生を簡単に撤去できることが望ましいし、できれば撤去したものを再度使えれば好都合だ。この芝生緑化のポイントは「パネル化」大袈裟に言えばモジュール化だ。いろいろな形状の芝生も可能で、デザインの自由度もそれだけ高くなる。芝生は植物であり、生育も、状態も自然条件によって影響を受ける。どこまで工業化できるか、試行錯誤となるだろうが、現在の都市環境は緑を必要としている。芝生のプレハブ化が成功すれば、芝生は都市部でもっと普及することだろう。そんな日がそれほど遠くないことを期待しつつ、プレハブ化に向けて、小さな技術開発かもしれないが、鋭意取り組んでいきたい。