職業と趣味・プロ農家とアマチュア農業

 

何事であれ、それが職業となると容易ではない。趣味で魚釣りをしている場合は釣れなくても、生活に困るということがないが、漁師の場合はそうはいかない。船を動かす油代、人件費をかけて、満足の行く結果が得られなければそのまま生活に響く。アマチュアゴルファーは楽しみでゴルフをやっている。しかし、ゴルフが仕事になったら、そうはいかない。ゴルフの試合に出て、賞金を稼ぎ、それで生活が成り立っているプロゴルファーは何人いることだろう。皆がトッププロになれるわけではない。好不調の波もあることだろう。

カラオケで歌を歌って、ストレス解消している素人と違い、歌を歌って生活している歌手はヒット曲がでなければ、一生ドサ回りということにもなる。

何事につけ、仕事となると大変だ。ここで職業と趣味の関係について考えてみたい。もしゴルフがアマチュアの世界と関係なく、プロゴルファーだけの世界であれば、テレビ中継もないだろうし、ゴルフセットの販売もプロゴルファー向けに限定されてしまう。ゴルフセットのメーカーも産業として発展することはないだろう。試合の賞金のスポンサーも賞金金額も限られ、マイナーなスポーツという域を出ることはできない。ある有名なプロゴルファーが「ギャラリー、お客さんを大切にしなさい。アマチュアの皆さんのお陰で私達は生活できている」と後輩プロゴルファーに教えたとのことだが、本当にそうなのだ。私は農業の世界でも同じことが言えるのではないかと思う。アマチュアにはアマチュアの限界もあるし、また望んでいることも、こだわりもある。今回志木市農業後継者クラブの体験型市民農園で接した県の農業指導員は参加者の質問に懇切丁寧に教えてくれた。通常は農家を指導している訳だが、志木市民が一人でも多く農業に、農作業に関心を持つようになることを期待しているのだろう。農業も趣味で楽しむ人々が増えて、裾野を形成することによって頂上は高くなるのではないだろうか。素人は素人なりに勉強もして、いろいろ考えている。また生活がかかっていない素人にしかできないチャレンジもある。そんな素人に寄り添ってくれる専門家がいたらどんなにか心強いことか。