自分の人生で何が悔やまれますか

かつてアメリカのスタンフォード大学が90歳を過ぎた高齢者に「自分の人生で何が悔やまれますか」という調査をしたところ、その解答の上位三項目は以下の通りであった。

1.もっとリスクを負えばよかった

2.もっと何かを学べばよかった

3.子供を育てる以外にもっと何かをすればよかった

以上はアメリカの調査結果だが、日本の高齢者にもあてはまることかもしれない。

(「人生100年をいきいき生きる」田中真澄 P7 致知出版社)

田中氏は「人間は、どんなに年を重ねても、自分が打ち込める仕事を持ち、社会的な責任を全うしてこそ、最も生きがいのある日々を享受できる」と力説している。

さて仕事をするということはどんなに計画しても「偶有性の世界」つまり必然で構成されていない世界、あるいは真理という実在をアプリオリに想定し得ない世界で仕事を行なう以上、予想していないチャンスもあるが、他方リスクもある。さらに言えば損失を招いたり、失敗することもある。1位のもっとリスクを負えばよかったというのは、もっとリスクを負えば、もっと大きなチャンスにも恵まれたはずだという気持ちと裏腹かもしれない。

ただリスクのとり方も、リスクに対する感覚も年齢と共に変っていくのではないか。単純化して言えば若い時には挽回のチャンスもあるので大きなリスクが取れるが、高齢者になると挽回のチャンスも体力も限られてくるので、やはり大きなリスクは取りにくくなる。そのためにも若い人と高齢者が共同で仕事をするという形は望ましいように思われる。