自己啓発、そして今
若い頃には随分と自己啓発の本を読んだ。そればかりでなく、大枚をはたいて研修会にも参加したことがある。会社で負担してくれるなら問題ないが、個人で自腹で払うにはかなりの金額だった。何がそこまで駆り立てのだろう。結局こういうことだったのかもしれない。「今の自分ではだめだ。もっとレベルアップして、成功人間にならなければいけない」
身につけるべきは新しい考え方、そしハウツーだった。例えば積極的考え方、セールスマンシップ、時間の使い方・・・。新しいものが自分の中に根づくためには3ヶ月かかる、という「法則」があるとのことで3ヶ月続けることを目標に頑張ったこともある。しかし、今振り返ってもみると不思議な感じがする。要するに効果があったのか、なかったのか分からないということである。勿論私自身の問題がある。理解力、吸収力、実行力のいずれの面でも不十分であり、真剣さも欠けていて、不徹底だったことを認めざるを得ないが、ハウツーが本当に自己啓発に役に立ったかどうか、分からない。結局は自己啓発に疲れ「自分らしいやり方で仕事をする、自分らしい生き方」「それしかない」というところに落ち着いてしまった。今は自分を変える、ということよりも自分ときちんと向き合い、自分を知り、理解し、受け入れていくということを大切にしている。実際にやって見ると、自分という人間を自分はまだ本当のところで分かっていない・・・ということが分かる。自分自身を知るということが、回りまわって自分を変える、自分を成長させるということになるのかもしれない。
そんなことを考えながら、本棚に並んでホコリを被っている昔読んだ自己啓発の本を処分するかどうかで悩んでいる。