誰もが生かされる場

サラリーマンをやめて農業を始めたSさん夫妻が書かれた本を読んでいる。1984年12月に初版が出ている。今から30年前、ご夫妻は山梨県で有機農業をまさに一から始められた。本の「あとがき」を読んでいる時、思わず立ち止まった個所がある。

「私たちが、サラリーマンをやめて農業を始めた理由の一つに『誰もが生かされる場を創りたい』という夢を実現したいということがあります」

ご夫妻によれば、農業という仕事は誰にもできるし、分け隔てなく自然が人をそれぞれにふさわしく生かしてくれる。力を合わせ、分かち合っていけば、「私たちの文化」が生まれるのではないか、そんな希望も与えてくれる・・・。

私自身も思うのだが、確かに農業にはさまざまな細かい仕事がある。そしてそれぞれが大切な仕事なのだ。やればやるほど細かい仕事が増えていく。男性に向いている仕事もあれば女性に向いている仕事もある。ハンディキャップのある人でも出来る仕事がある。

農業の世界では役に立つ人、役に立たない人という単純な二元論が成立たないようにしたいと思う。

誰もが生かされる場、私たちの文化・・・この2つをキーワードにして、私なりの理解を深め、拡げていきたい。有機農業とは野菜の栽培方法に留まらず、自然をベースにした人と人との社会的関係も含んでいる。