農業にも会員制モデルを

 

日本の農業の活性化にとって大事なことは何だろうか。最近の傾向で目立つのは流通形態の改革だ。従来農家はJAに一括して販売していた。それが変ってきて農家がJAだけでなく直接スーパーに販売したり、直売所で消費者に販売するようになってきた。販売形態、流通ルートの多様化と言っても良いだろう。現在はより良い販売形態を模索している時期と言えるかもしれない。言葉遊びになるかもしれないが、流通という言葉を因数分解すると「流」は文字通りモノを流す、生産者から消費者に流す。「通」の意味は何か。私はそれを情報と信頼が通じ合うことと考えている。「流」は一方的だが、「通」は相互対流的だ。無駄のない、早い「流」を実現するためには優れたシステムと技術が鍵を握るが、「通」の場合は複雑で、人間的な要素も多くなる。「流」をモノの世界と考えれば「通」はコトの世界ということになるのではないか。「流」の効率化、高速化のためには中間業者はもう不要だという声もあるが、一概にはそうは言えないだろう。機能を変えながらも存在するのではないか。つまりモノの流れの中で一定のマージンを取ることには変りない。しかし、農産物自体の取引では工業製品のような高い付加価値率はなかなか難しいので、どうしても薄利となる。薄利でやっていくためにはやはり一定量を扱わなければならないということになる。リスクが増えていく。さてそれでは「通」の場合はどうだろうか。現在のところではまだ漠然としたことしか言えないが、私は生産者と消費者の間に入るよりも、生産者と消費者が直接出会い、取引できるような舞台、プラットフォームをつくることに関心がある。それを地域密着型と会員制で考えている。「通」のビジネスモデルを作ることが私の今の最大の関心事となっている。「通」のモデルの中で安心・安全、美味しい・健康的が可能になるのではないだろうか。品質の良いものを安く販売する、会員には特別サービスを提供する、そして生産者と消費者のコミュニティが形成される・・・そんなモデルを模索中だ。