農業法人への金融的支援とCSA

 

農林中央金庫が大規模な農業法人に1000億円の融資枠を新たに設け、低利の運転資金を貸出すとのことだ。従来農林中金は直接農家向けに融資することを避けてきた。農林中金―信用農業協同組合連合会(信錬)-農協、というルートで貸付をしてきたとのことだ。

農協は小規模な兼業農家向けに数百万円の小口融資を中心としている。ビジネスモデル的に分析するとここには一つの大きな転換がある。つまり農水省は将来の日本農業の担い手を個人の農家ではなく、農業法人と考えた、ということである。恐らくこの直接融資は農協制度に大きなインパクトを与えることになるだろう。さてここで考えたいことは将来の日本の農業のあり方と担い手についてだ。私も農業法人、農業生産法人化は今後拡大していくと思うし、資金調達、経営計画、人材育成、技術革新という面から考えると妥当な方向性と思うが、一方地産地消、直売所の増加も大きな流れだ。つまり農業法人は全国的な野菜の供給、個人農家は地産地消という方向性、棲み分けになるのではないか。農業法人は農協に対する対抗意識の中で、独自に販路を開拓したり、農家を束ねて農作物を集荷し販売してきた経緯がある。農業融資のノウハウを持つ日本政策金融公庫と一緒に農業法人を訪問して資金需要を掘り起こすとのことだが、農業法人からは今迄の苦闘の歴史をたっぷり聞かされることだろう。さて問題は個人農家だ。従来通り農協から借りるということになるだろうが、消費者の立場からこれから応援できることはないだろうか。CSAの仕組では運転資金を貸付けではなく、渡し切りで、生産物で「返済」してもらう。もともとアメリカで始まった仕組だが、日本ではどうだろうか。私は消費者と農家のもっと幅広い、そして持続可能な深い相互協力体制を築けないかと考えている。現在検討中だが基本は相互協力、生産物で「返済」だ。